砂の城貯金

子育てをしているお母さんにとって日々不安の種はつきないところです。いったい何を支えに、何をよりどころにしてがんばっていけばいいのか、というご相談をよくいただきます。お母さんにとって、自分の子育てが最善であるかどうか不安が消えることはないのかもしれません。でも、不安に流されてしまっては母としての役目が手薄になってしまいます。なんとしても、毎日の母親業はしっかりとこなしていただきたいと思うのです。

子育ては砂の城を造るようなものです。翌日になれば前日の努力は跡形もなく、またその日のベッドを造り、食卓を用意しなければなりません。だからといって一日でも子供たちを満たすことをせず、安らかな寝床を与えなければ彼らに不安を植え付けることになります。ひるがえせば、子供というのはその日一日が満たされていればそれで元気に明日を迎えてくれるものなのです。未来を思いわずらうのは親として当然の心理です。でも親が思う子供の未来と、子供達自身が創り上げていく未来とが必ずしも一致しているとは限らないのです。であるならば、特に母親というのは明日の糧を与えようとするよりは、ひたすら今日一日を満たしてあげることに尽力し、残った余力で明日のことを考える。そして時には来月のことを、もう少し先のことを…というように気持ちを振り分けていくようにするのがよいのではないでしょうか。

母が与えたものが砂の城であっても、子供たちはいつか自分でしっかり石垣を築き、ゆらがない人生を自分の力で構築していくことでしょう。子供たちが自分の人生を創造していく原動力、それはすなわちお母さんの毎日の砂の城貯金であることはいうまでもありません。目には見えねど、子供たちの心には母の愛が大きな砦となって築かれていくのです。それが人生の希望を見失わない忍耐を与えるのです。