モノ言わぬ人々(2)

モノ言わぬ人々は、なぜ言葉で語らないのか。

それは言葉がとても不完全だということを知っているから。
言葉が持っている意味は人によって違う。誤解が生じる。そして、どちらかが、あるいはお互いが傷つく。

モノ言わぬ人々は、以心伝心、テレパシーで他人の心を読み取れる。だから、自分の言葉でもし相手が傷ついてしまうと、その刹那、罪悪感を感じ、もう会話を続けられなくなる。なんとかその場を収束する為に、自らが悪役を引き受けることになる。罪のない罪を認めてしまえば、それ以上誰も傷つかなくなる。その場をとりつくろったり、みえすいた嘘を言ってしまう。それは「そうするのが最善だ」という感覚がある。選択することができず、ただそうするしかない。もの言わぬ人々はそうやって生きている。

人の心は読めても、自分の心を読んでくれる人がほとんどいない。だから、とても孤独だ。

でも、もうすぐ…彼らの時代がやってくる。もうすぐ…(でも、それは何年、何十年、いや、もっと先なのかもしれないが…)