物欲考(4)

少年時代を過ぎ高校生になった僕は音楽に傾倒するようになり、無線への興味も失せていた。次に襲われた物欲は電子キーボードだった。いわゆるシンセサイザーである。最近はシンセという言葉もあまり使われない。昨今、キーボードは性能が高くなりすぎて、あらゆる機能が凝縮されてボタンひとつで無数の音を呼び出せる。逐一、音色を自分で設計して創り上げる人はいないし、そういう仕組みをもつキーボードはまったく一般的ではなくなった。

で、当時高校生だった僕は一式100万円もするシンセサイザーが欲しくてたまらなかった。逆立ちしても手にいれることはできない物欲の対象だった。で、仕方ないので手作りしてしまったわけだ。それでも一応、音はでた。その時点であの物欲は昇華されてしまった気がする。

30年以上経過した今、当時は絶対に手にいれることができなかったシンセサイザーのシステムは、なんと今、目の前にある一台のMacのなかですべて再現できてしまう。そんな時代が来ようとは想像すらできなかったが…。一応、夢はかなった・・・といえるのだろうな。

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