2023-05-12:苦手意識とはなんなのか
ヒアリングが苦手。
だから、発音がわかりやすい言語を好む傾向がある。
生まれつき耳に馴染んでいる津軽弁なら、まあまあ聞き取れる。
だから、ネイティブじゃないと言語を習得するのは難しいのだろう。
特に耳を鳴らすのは、頑張っても限界があるんだろうな、と思っていた。
それでもBBCのドラマが好きで、あるドラマのDVDを全部持っている。ヒアリングの勉強もしたかったので見栄をはって英語版を入手(そもそも英語版しか存在していない)。iPadに落とし込んで空き時間に、時々眺めている。しかしながら、実際のところは早口だし鈍ってるし(本当にイギリス英語は訛りが強いと全く意味不明)ほとんど聞き取れない。
それでも何年も地道に聞きつ続けてきたのだが、なかなか成果は上がらず。
少し前に小津安二郎監督の有名な映画を観た。そのタイトルは以前から知っていた。チラッと見たこともある。が、通して最後まで見たのはほんのつい先日のことだ。これまでも何度も見ようと思って冒頭を見てみるのだが、すぐに飽きてしまう。演技も古くさい気がする。モノクロだし、動きも少ないし、一体何をどう見たらいいのかと戸惑ってしまう。そうこうしているうちに眠くなってしまう。その繰り返し。
が、ある時、小津安二郎監督が小道具にまでこだわっていた、また畳のへりが余計にうつらないように座布団を置いていた、という記事を見て、そんなに細かいところまで配慮されていたのか?と気になり、ストーリーや演技にばかり気にかけず、画面の構図とか、小物の場所か配置関係などを見るようになった。そうすることで映画全体の印象が変わって見えてきて、ついに最後まで通してみることができたのだった。
視点を変えるとはこういうことなんだな、と非常に深く感じさせられた体験だった。
そしてまた春が来て、ちょっと新しい取り組みをしたい時節。で冒頭のBBCのドラマだ。シーズン1の第一話から再度、見始めた。もう何度も見ていてストーリーはすっかり頭に入っているはず。だが、かなり忘れている(ひどいものだ)。
今回はストーリーや細かいセリフにとらわれず、もう少し引いて見てみることにしよう。そう思って、ぼうっと眺めていると意外とセリフが聞こえてきた。瞬間に意味は分からずとも「音」としては聞こえていることに気づいた。それで、もう少ししっかり単語の区切りも聞き分けたいと思い、そういえばスロー再生という機能があったことに気づいて昨日から70%で再生している。これなら、ほぼ単語は聞き取れることに気づいた。
なんだ、聞こえていたんだな。
きっと違うところに囚われすぎて、聞こえていても聞き流してしまっていたのだろう。聞きながら翻訳しようとする余計な思考があったと思う。音をそのまま聞く、ということはやったことがなかったかもしれない。
セリフが音として聞こえてきたらちょっと面白くなって、80%(10%早く)再生にしてみた。が、これだとまだちょっと早くて聞き取れなくなる。明日は75%でトライしてみよう。100%(本来の速度)再生で聞き取れるようになったら字幕(英語)もいらなくなるだろう。知らない単語は後からゆっくり辞書を引けばいいわけだし。
なんだ、なんだ、聞こえてたんだ。
ヒアリングが苦手なのは単なる思いこみだったみたいだ。一体なんだったんだろう。
最も、ここ最近、さまざまな内観や調和のワークを実践しているので、その効果もあるかもしれない。いつかまた掘り下げて考えてみたい。