どうすれば宇宙のサポートを得られるか、を考えてみた

世界的に有名な本で、『アルケミスト』っていうファンタジーがありますよね。一部の界隈ではものすごく熱狂的に支持されている大ベストセラーです。

その本の中に、

「何かを強く望むとき、宇宙全体がその実現を助けようとする」

っていう有名な表現があるんです。

でもね、これ、日本語的に「実現を助ける」って言っちゃうと、「あ、望めば実現するんだ!」みたいに、結構短絡的に捉えられやすいんですよね。

だけど原文では、そんなこと全然言ってないんですよ。


まず、英語の原文はこうなっています。

“When you want something, all the universe conspires in helping you to achieve it.”

まず、「強く望む」って言いますけど、原文はただの “want” なんですよね。
強く念じるというよりは、「あ、こうだったらいいな」「ああだったらいいな」って素直に思うならば、っていうくらいのニュアンスなんです。

そして、宇宙がどうするかというと、“all the universe conspires”。
この “conspire” っていう単語には、「力を合わせる」とか「共謀する」っていう意味があるんです。こっそり裏で企てる、みたいな感じですよね。表立って奇跡を起こすというよりは、非常に細かいところまで入念に、あなたが前進できるように裏で手を回してサポートしますよ、というニュアンスなんです。

極めつきは最後の言葉です。「実現」ではなくて、使われているのは “achieve” なんです。
achieve って、たどり着くとか、成し遂げるって意味ですよね。何もしないで待っていたら棚ぼたで実現するんじゃなくて、あなたがそこへ歩いてたどり着くのを助ける、と言っているんです。


これを「強く願えば実現する」と日本語で受け取ってしまうと、「とにかく強く願えばいいんだ」という話になってしまう。

それと一番まずいのは、何かがうまくいかないときに、
「ああ、自分の願い方が弱いんだ……」
「引き寄せのエネルギーが足りないんだ……」
っていう解釈になっちゃうことなんです。

翻訳された方を否定するつもりは全然ないんだけれど、個人的にはこの訳で読んでいると、世界中の読者が感じている『アルケミスト』の標準的な理解からどんどんズレていっちゃうんじゃないかと思うんです。

これ、決して夢物語や空想のファンタジー本じゃないんですよね。
本当は、日々の教訓を与える本なんです。
「日々、小刻みにコツコツと努力しなさい」ということを、脳天からガーンと楔(くさび)を打ち込み直すようなエネルギーを持っている。もっと地に足をつけて、力強く生き抜きなさいと、頑張ることを肯定してくれる倫理観を磨く本なんです。

ところが「強く願えば宇宙が助けてくれる」という言葉のせいで、日本人は「願えばいいんだ」という夢物語だと勘違いしてしまう。


特に今の日本人って、みんなすごく疲れていて、どこか虚しさを抱えているじゃないですか。
その状況で「しっかり強く願うならば、宇宙は支えてくれる」なんて言われたら、逆に絶望しませんか?

「もし〜ならば、救われる」という条件を突きつけられているようなものです。
そもそも日本人って、自ら何かを強烈に「欲する(want)」のがすごく苦手な民族なんです。「欲するって何?」っていうくらい控えめです。
そうなると、「願えない自分には、宇宙は手を差し伸べてくれないんだな」という、逆説的な意味になっちゃいますよね。

でも、そうじゃない。
あなたがどれくらい努力しているか、していないか。
強く望んでいるか、いないか。
そんなことに関わらず、宇宙は常に公平に、あなたが進化成長することを配慮しているし、促しているはずなんです。


じゃあ、「願おうが願うまいが変わらないのか」「努力してもしなくても同じなのか」って話になりますよね。

そうでもないんです。
やっぱり、宇宙は私たちの「真意」には気づいてくれるんです。

じゃあその真意ってどこにあるのかというと、「何を欲しがるか」じゃないんですよ。
まずは、自分が何者かに気づくことなんです。

誠の自分がいかに時代の流れに翻弄されて、抑圧されているか。
いかに今、自分が苦しいか。
そこにしっかり目を向けることだと思うんですよね。

「あ、自分は今、苦しいんだな」ということを、まずは認める。受け入れる。理解する。
それを打ち消したり、なかったことにしたり、ごまかして目を背けている限りは、もう変わりようがないじゃないですか。それは諦めと同じですからね。

まずは現実をしっかり見て、そこから「変わろうとする」こと。
変わろうとすることこそが、アルケミスト風に言うならば「望む(want)」ということだし、その変わろうとする一歩に対して、宇宙は大きなサポートをしてくれるんだと思うんです。

『アルケミスト』の主題に対して、どうしても一言言いたくなったので語ってみました。
皆さんはどう感じますか?